部屋に入ると、後から入ったあいつが後ろ手にドアを閉めた。
カチリ…鍵をかける音がした。緊張が走る。
「さて。お前の話を聞く前に先に言っておく。
俺はお前をこの家から出さない。絶対にだ。
それ意外の話だったら聞いてやる。」
「…この家を出て、色々考えた。
あんたは幼い頃から母親が側にいなくて、父親も仕事人間だった。
愛情に飢えてたんだよね?そんな時やっとできた母親は(私の母親だけど)、1年足らずでまたいなくなった。
愛情不足で成長すると心がちゃんと成長しないで歪んでしまうんだよ。知ってた?
どういう訳で私を引き取ったのか知らないけど、その時の私は母親から『旦那に追い出されたのは、聖良のせいだ。』と言われ、折檻されて、酷い有り様だった。
どういう理由であれ、母親から離れられて助かったって思った。