「分かった。その前に…これ。」 「何これ?」 「防犯ブザー。念のため持ち歩いとけ。」 「…ありがと。」 誠と一緒に家を出た。 決心をしたものの、やっぱり怖い。なかなか足は前に進まない。怖さなのか寒さなのか、唇が震え、歯がカチカチ鳴った。 それを見た誠は、私の肩をしっかり抱いて、 「俺がついてる。絶対助けてやるから。大丈夫…大丈夫…。」 あいつの家に着くまでずっとそう言い続けてくれた。