「……それって、」


どういう意味?

聞こうとした瞬間、暗闇に支配されていた視界に派手やかな閃光が走った。



「なっ…!?」
「わっ!!!」


ドン!
という破裂音とともに夜空に弾ける、あれは…




「「花火!?」」


どんどんどん、
続けざまに打ち上がる10号玉。

赤、青、緑。
カラフルな輪が、ゲレンデの空にキラキラ弾けては消える。



「うわぁ……っ!すごいすごいすごいっ!!花火だぁ…!綺麗……っ!!」


思わず、ガラスに走り寄った。
打ち上げとともに、ビリ、と窓も震えている。
きょう花火の予定なんて
…もちろん、なかった、ハズ。

振り返ると、トウマは軽く頭を抱えていた。


「また派手なことを…」

「野本さんかな。」

「……いや。むしろ烈火さん、かも、な。」

「ん? なんで?」


話してる間も花火は次々に上がって、当分終わる気配を見せない。ゲレンデには音を聞きつけたお客さん達が続々と詰め掛けて、途端に賑やかになった。



“……る気が削がれた”

ボソッとふて腐れたように呟くトウマ。



くっ……なにこの破壊力。

不覚にも可愛い、なんて思ってしまったじゃないか。


ああもう、


「山を降りたら、行くよ。トウマの…部屋に。」


行きます。
行きますから。

だから、そんな熱っぽい眼差しで見つめないで。いきなりの温度差であたしヒリヒリしてるの。


ああもう、そんな嬉しそうに笑わないでよ。


トウマ……大好き、だよ。