「…ほんとうに?信じていいの?トウマ…あたし、でも、……ん、」
身体を起こして確かめようとしたら、また上からキスが降ってきた。唇の感触も、温度も、気持ちい……ヤバい、…ダメだ、何も考えられなくなる。
「…覚悟しろよ。」
「え?」
「さっき、誰かさんが派手に演出してくれたからな。明日にはもう記事で配信されるぞ。俺の引退、なんて結構な土産付きで。」
「…そうだよ!」
思考停止してる場合じゃないっ!
「トウマ、やめちゃうの?…あたし、が、原因?そんな……そんなの、ファンが納得しないよ。誰よりもまず、あたしが。」
あたしがまずあなたの一ファンだから。
「俺はNIS−FMを辞めると言っただけで、DJを辞めるとは言ってないぞ。」
「……へ?」
「19の頃から、ずっと烈火さんの元で働いてきた。DJデビューしてからの7年間もずっと、だ。そろそろ、親元を離れるには良い頃合いだろう。一旦、あそこを離れて外を見てみたかった。」
お前のことが無ければ決心は付かなかっただろうが、と、トウマは続けて小さく呟いた。