「理由は…わかった?」

トウマは意外な、とでも言うように片眉を上げた。

「理由は、お前が教えてくれた。」

「…え、何?」

「“声に恋をするって経験、皆さんにはありますか?”」

「あ………」



恋、を…したの?

あたしと同じように、あなたも。



「夕方、エンディングトークでお前がそう切り出した時、自分の事を言われているのかと思ってドキっとした。…図星をさされたようで。」

「…トウマのこと、だよ。」

「、なに?」

「あれは、トウマの声を最初に聴いた、あたしのことだもん。」


ふ、とトウマの顔が綻ぶ。


「…素直だな。」


どうして、そんな風に見つめるの。

愛しくて
嬉しくて
仕方がないって

目が、言ってる。

そんな顔、反則だよ。


「トウマも、素直になってよ… 」


…もう、良いですか。

もう、満タンなの。

少しでも動いたら、身体いっぱいに抱えてる感情が、零れ落ちちゃう。




「………き。」


あなたに、向かって。


「好き。トウマが、好き。はじめて会った時から…ううん、会う前から。ラジオから漏れてきたあなたの声に耳を奪われてから、ずっと。…あなたのことが、好…」



“好きでした。”

そう、続けるつもりだったのに。