『 最後まで、お疲れさまでした。
今後の活躍を期待しています。▲より 』
カードの文末に、トンガリさんのマークが添えられていた。
それだけで、もう十分だった。
きょうの放送中、実は、トンガリさんからメッセージが来なかったんだ。毎回必ず、メールをくれていたのに。どうして今日に限って、って、それが気になっていた。
けれど…
きっと、たぶん。それは。
涙で文字がぼやける。
▲印が揺れる。
どうしよう、嬉しい。
嬉し過ぎて、胸が痛いよ。
焼き切れそう。
そうしてあたしは、多分きょう初めて、ちゃんとトウマに向き合って、目を合わせたのだった。
「…トンガリさん。直接、持ってきてくれたんだね。」
「いや、受付に届けられたのを俺が拝借した。」
もう、まだそんなこと言ってる。
「…名乗ってくれれば、いいのに。恥ずかしがり屋さんだなぁ、トンガリさんは。」
「彼にも色々、事情があるんだろう。」
「ぷっ…トウマの、嘘つき。」
視線が交差する。
どうして、気付かなかったんだろう。
この人はこんなにも、瞳に温かさを滲ませていたのに。
ヤバい。
愛しさがあふれて止まらない。
どうしよう、抱きついてしまいそうだ。
あたしが腕を伸ばすのと、
トウマがこちらに一歩を踏み出すのと
…ステージの下から
地を這うような音が響くのが、
ほぼ、同時だった・・・