一瞬の後、次第に周りの音が戻ってくる。
「俺の耳を魅了したみたいに、今度は別のステージで、彼女はもっと沢山の人々の心をがっちり掴んでいくことでしょう。まずは、労いの花束を。」
まるでなんでもない事のように。
トウマは、しれっと花束をあたしに手渡した。
「よく、がんばったな。」
そこには、赤い花に埋もれるようにして、メッセージカードが一枚添えられていて。
その文字列を目にした瞬間、あたしは世界が足元からガラガラ崩れていくのを感じた。
どうしよう。
あたしが見ていた世界は。
あたしが正しいと信じていた世界は。
もしかして、
間違いだらけだったのかもしれない。
答えは、意外とシンプルで。
いつも、そこにあったのに。
…どうして、わからなかったんだろう。