「さーっ!サラちゃん、パーッと飲んで飲んで!お疲れっしたーーー!!」

「サエさん…サエさんには本当にお世話になって…うう、お別れがツライです。」


烈火さんや灯歌ちゃんには今後も仕事で会えるけれど。NIS–FMで仕事を持っている訳ではないサエさんには、もうなかなか会えないもの。


「わたしも寂しいわ。サラちゃんとはずっと同室だったし。あんた本当に危なっかしくてハラハラさせられっぱなしだったし。最後に、置き土産くらいして行きなさいよねー。」

「もちろんです、サエさん。あとでお渡ししたいものが…」

「バカっ!そーゆー意味じゃないってばー!」

「…へ?」


ここだけの話、サエさんには縁結びで有名な神社のお守りを渡そうと用意していた。
昨日山を降りたのは、髪を切るだけじゃなくてこの目的もあったんだ。

午前中に美容院を済ませて、片道2時間。特急列車に飛び乗って隣県までビュンとトンボ帰りを決行。昨日は寸分の隙もなく時間を有効に使い切った。


そこに、烈火さんが目を光らせながら口を挟んできた。


「佐伯さんが言いたいのは、キミがラストで話してた恋バナの…」

「あ、ねぇねぇ烈火さん。あたし、せっかくだからオシャレなノンアルコールカクテルが飲みたいなぁ。」