心がどんなに大荒れでも
そこはそれ。

いざ、マイクを握れば
テンションマックスでお届けするのがプロってもの。

12時の時報が鳴るほんの5秒前。
滑りこむようにブースに舞い戻ったあたしを後ろからジングルが打ちたてた。“S・S・S‼︎シラカワ・スノー・ステイション!”…番組開始を告げるこのジングルを聴くのも、これが最後。

椅子に座ってパンパン、と頬を2回叩いて気合を入れる。

さあ、行くよサラっ!!


「毎度おなじみの方も、はじめましての方も、こんにちはーーーっ!DJサラですっ!1月31日、土曜日。本日をもって、わたし、サラはS・S・S…シラカワ・スノー・ステーションを卒業します!だから今日は…S・S・Sの、“サラ・卒業・スペシャル”~S・S・S!勝手ながら、エスを6つも並べて、スペシャル感満載でお届けしちゃいまーす。みんな、きょうはいつも以上に!めいっぱい楽しんでってね!最後まで、お付き合い、よろしくぅ♪」


オープニングトークの後、絶妙なタイミングで1曲目の『 START/ JUN SKY WALKER(S)』がゲレンデ中に響き渡る。1月31日。きょうは、お別れ。そして、始まりの日。MVとの奇妙な共通点で、この曲でスタートすることを決めた。

ミキサーはずっと大崎くんが務めてくれた。彼に任せておけば、心配はない。ラストの日の相棒が、頼れる同期でよかった。本当に。安心して背中を預けられる。


「みんなっ!楽しんでる!? さぁ、どんどん、テンション、上げてくよーっ!」