部屋には大地くんと2人っきり。
並んだ料理に
ちょっと不恰好なケーキ
大好きなオレンジジュース
輪っかで作られた飾り
胸がいっぱいになって…
ポロポロと流れ出す涙を大地くんが優しく拭ってくれる。


大「誕生日、おめでとう」


萌「……ありが……とう」


大「もう一生言わねぇからよく聞けよ?」


そう言った大地くんが私をギュッと抱き締めて


大「お前に出会えてよかった……。好きだ。これからも傍にいろよ?俺の隣に邪魔者いるけど……」


そして、そっと離された私の首もとには大地くんがプレゼントしてくれたネックレス。


嬉しさのあまり、言葉ではなく涙ばかり溢れる私を見て


大「今日、可愛くお洒落してたのに、デートできなくてごめん……。本当はデートして、楓の準備が出来次第、家に連れてくる予定だったんだけど……」


頑張ってお洒落したことに気付いてくれただけでいい。
誕生日を知ってくれてただけでいい。
今、こうやって傍にいれるだけでいい。

私は「ううん、嬉しい」と伝えたかったけど、涙が邪魔して、うまく伝わったかは分からない。


大「可愛いのは賛成だけど……スカートだけはダメ。他の男に見せたいなら別だけど」


本当は色んな変化に気付いてくれてたんだね。
ありがとう……大地くん。


萌「もう…しない」


そういった私に大地くんはチュッとキスを落とした。


たった一瞬。
触れるだけの。
優しい。

私と大地くんの初めてのキス。


けど、余韻に浸る暇もなく大地くんは扉に向かっていて……
けど、分かっちゃった。


大地くんの顔が耳まで真っ赤なこと。