「どうだ? 寝れそうか?」
「……む、」
「ん?」
「ムリっ!!!」
こんなんで、寝れるわけがない。
苦しい。
ぎゅっとされてる表面じゃなくて、内側が、すごく。
「じゃー、こうしてみるか」
――ごろん。
「!!!!」
ピンク色のラグが、あたしの頬にくっついた。
「寝てる状態のほうがいいよな、やっぱり」
ちがうよ。そうじゃないよ。
こういう意味じゃないし、体勢の問題じゃない。
そう言いたいのに、声が出ない。
背中と頭を引き寄せられて、黒のニットに深く沈んでしまったから。
苦しくて、
金魚みたいにパクパクする口からは、泡のような息がもれるだけだ。