もしかしたら、顔にクリームでも付いてるのかな? そう思って、口元をぬぐいかけたとき。 「……はうっ」 伸びてきた両手に、はしっと顔をはさまれた。 そのまま、じりじりとハル兄の顔が近づいてくる。 40センチ、30センチ、20センチ……10センチ。 涙でもぬぐうようなやわらかさで、 親指を、目元で動かしながら。