「キミがクリス!?」
「ルビアのお姉さんでしょ!?」


タイミングを合わせたように
驚いた表情で順番に叫ぶ二人。
私はそれにただ圧倒されながら
頷く事しか出来なかった。



頷いた事を二人で確認するように
顔を見合わせれば
彼女達は少し表情を
曇らせながら覚悟したように
顔をこちらに向け、同時に口を開いた。


「「内緒にしてって
言われたんだけど、
…ルビア、…君のことで
泣いてたよ?」」



「…え?泣い、てた…?」


唐突過ぎる言葉に
私は間抜けな声しか出なかった。
頭がついていかず
状況が、掴めない。
“私が”泣かせた、のではなく
“私の事で”泣く…?




「「クリス?」」


余程呆然としていのだろう。
心配そうに、けれど
どこか気まずそうな二人の顔が
こちらをじっと見つめていた。



「……大丈夫、よ。
大体、予想は付くから。」


そんな顔で見られたら
こう答えるしかない。

予想なんてある筈が無い。
けれど、平気な顔を取り繕って
淡々と言葉にした私は
“彼”から見ると
余りに滑稽だ、と笑われるのかしら?
それでも良い。
彼女達に通用するなら。


「なぁーんだ。」
「そっか。」


顔を見合せ安心したように
胸を撫で下ろしながら
口々に言葉を出す二人を見ると
私も少し、ほっとため息が出る。