初対面の人間なのに
どうしてこんなに
心配してくれるの?


そんな冷たい考えが
頭に過(よぎ)り喉から出かかったが、

この光景を見ていたら
そんな事は
先程の記憶と共に消え去り、
ほんわかと暖かい気持ちが残った。



「…ごめんなさい、
急に迷惑掛けちゃったわね…。」



「気にしなくて良いんだよ!
それより名前教えて?」

「そうそう♪
僕達はアイリスとリアスだよ。」


最初にヘアピンを付けた
少女が満面の笑みを浮かべながら
言えば、付け足すように
カチューシャをしている少女が
先に自分を指差し、
次にヘアピンを付けた
少女を指差しながら名前を言った。


「私はクリスよ。
クリス・フェアローラ。」


何度目の自己紹介になるのだろうか。
名前を言えば二人は
驚いたように立ち上がり
ベッドに手を付けながら
顔を近付けてきた。


思わず顔を離すように
仰け反り後ろ手を付く。