『…そうか、君は…
もう─…分かってるんだね…。』
けれど、記憶は
そんな事はお構い無しに、
ただただ映像を進めていく。
寂しそうで、でも
どこか諦めたような悔しげ声は
この間の彼─リッドと
何故かぼんやりと重なった。
けれど微かにずれて、また重なる。
まるで写真を二枚
重ねているような、そんな風に。
似ているわけではない、
…寧ろ正反対な二人。
分からなかった。
なぜ、二人が
重なって見えるのかが。
「……消え、なさいよ。」
頭を押さえながら
映像を遮るように、思わず
絞りだしたような声が漏れる。
どうして急に思い出したの?
また、平穏じゃ…なくなる。
疑問と苦しさが交じり合い
どうにもならない
もどかしさから
頭を抱え込むように
蹲(うずくま)れば、
それと同時に
ポンと肩に手が置かれた。