空気を変えるかのように、
コホン、と軽く咳払いしてから
目線を私の方へと戻した。
睨むような思い出すような
そんな目付きだったけど、
私は怖いとは思わず
この時、アザセルの瞳を
ただ単純に
綺麗だ、と思っていた。
「いいか?忠告しておく。
…あいつとは関わるな。」
…この言葉を覚えていたら、
きっと、あれだけ
後悔はしなかっただろう。
大切な事だったのに。
私の脳は
いつも危険を感じていたのに、ね。
この時、私は
深く考えずにただ頷いた。
そんな筈はない。
もう二度と会うことなんてない。
心にそう、決め付けて。