目だけで周りを見渡しながら
自分の剣を探す。
"逃げなきゃ"
その感情が強く出てきて
現状がはっきりとしてくる。
剣は彼の足の下。
おそらく私の手から
落ちた時にでも拾って置いたのだろう。
………目敏い。
私が動かない事を良い事に
相手の手が伸びてくる。
嫌!触られたくない!
その一心で
思い切り足を突き出した。
私の足は惜しくも空をかいたが
剣と彼の距離は広がり、
手を伸ばせば届きそう。
とっさに手を伸ばし、
取ろうとしたがパシンと
渇いた音ともに剣が遠ざかる。
「残念でした♪」
私の剣を持ちながら
嘲笑うような笑みを浮かべている。
手を払われ剣を取られたのね。
叩かれた手がじわじわと赤くなる。
………でもこれは計算内。
寧ろこうなる事を望んだわ。
コンマ一秒の差、と言っても良い程
微かな時間の差で
私の方が素早く動いた。