その時、後ろから
トントン、と軽く
彼女の肩が叩かれた。


「おばーちゃん!
今日も、お話、聞かせて?」


振り向くと、小さな子供の
くりんとした瞳が
じっとこちらを見ていた。
二つに結ばれた髪は、
ふわふわと不安定に宙に漂う。

可愛い、そのただ一言が似合う
子供であった。

彼女はその子を見て
先程の表情とは打って変わって
にこりと優しく微笑んだ。



「あら、リリィ。
またあのお話、聞きたいの?」



「うん!だってリリィ、あのお話だぁいすき!」



リリィと呼ばれたその子は
ニコニコと笑みを浮かべながら
何時ものようにストンと
彼女の隣に座り込んだ。



「ね?良いでしょ?
クリスおばあちゃん。」