自転車にまたがり、向かい風に髪を押さえる。
蔡香の家に着いて、インターホンを押す。
ピンポーン
“いまいくーっ”
インターホンから声がしてから1分もしないうちに蔡香は出てきた。
「おはよぉ~っ、月愛なんか久しぶりやなっ」
「そぉ?こないだ遊んだやんかっ」
「でもなんか久々やんかぁっ」
蔡香が自転車の後ろに乗ると、私は自転車をこぎはじめた。
「帰りは、前こいでな?」
私の言葉に対する蔡香の応答はない。
「無視せんといてよ、なんで私ばっかり前こがんなあかんのよっ」
「分かった分かった、こぐこぐ~」
とりあえず、そんなささいな会話をしながら学校の近くのマンションに自転車を止めて私たちは歩き出した。
「あぁ~っ、彼氏つくりたいわぁ」
蔡香は、かばんを振り回しながらつぶやく。
「ちょ、あぶないって。あたるやん!気をつけてよ」
「ごめんごめん~…、かっこいい人おるかなぁっ?」
蔡香は学校を目の前にしてウキウキしていた。
「そりゃ~5、6人は居るんちゃう?」
私は、呆れたようにそう言ったけど
内心は蔡香同様ウキウキしてた。