「なんかな、こっちがせっかく話かけてんのに。おちょくられるんが嫌なんか知らんけど、ばり冷たいしな、本間ふてこいねん!どーにかならんのかな?あの性格!」
「月愛めっちゃ言うやんっ、ばりおもろいし」
「なんもおもんないわっ」
興奮する私にすずは笑ってた。
「「え~、1年生の皆さんは指定されたパイプ椅子に座り静かにして下さい」」
舞台の上で老けたおじさんがマイク越しに私たちに言った。
「指定とかあるん?え、すぅどこ?」
「パイプ椅子の後ろに名前テープあるからそこに座って~」
若い男の先生が私たちの後ろから声を掛ける。
「あ、私いっちゃん後ろや~」
私は自分の名前を見つけて席に座った。
となりには、多分さっき蔡香とすずが言ってた集団の1人が座ってた。
「…。」
すずと蔡香は前の方やったから、喋り相手も居らずただ黙るしかなかった。
隣の男の子も何度か目は合うけど、お互い何も言葉を発さなかった。
しばらくして、校長の話がはじまり、先生の紹介や学校の決まり等の話もしていた。
その間、私は暇すぎて何もする事がなく、たまに隣の子を眺めたり、茶髪を探したり、瑞稀の行動を監視したり。
隣の子は、ハーフみたいな顔立ちやった。
窓から体育館に差し込む光で隣の子の瞳は色の無い茶色になった。
ほんの一瞬、私は胸が高鳴るのを感じてすぐ目をそらした。
すごい綺麗な瞳をしていた。