震える指先で、そっと目の前にある唇にさわってみた。
へぇ~。
気持ちいーんだ。
唇、触った感触てこんなもんなの?
自分のも、そーなのかな?
――ぷにっ
うーん……
人の方が気持ちいーなっ!
「何、間接キスしてんの?」
「へ?!」
突然、動き出す唇にビックリした私。
少し顔を赤らめた矢野君の瞳が、そっと開いた。
――ガタッ
「痛っ! あ……ごめんなさいっ」
勢いよく立ち上がろうとしたから、足をベットの端で強打。
それよりも、この場から逃げたくて痛みを感じてる暇すらなかった。
いつから起きてたんだろう?
恥ずかし過ぎる!
あんな事してたなんて……。
強打した部分を押さえばがら、どんどん真っ赤になる顔。
「……痛っ」
さっきとは、違う痛み。
矢野君に、腕を強く掴まれた痛み……。
痛みより、腕を掴まれた事に驚いて真っ赤な顔をあげてしまった。
「あぁっ……わりぃ。
すぐ、居なくなるから」
瞳を逸らし、違う方を見た。
掴まれた腕は、さっきよりも優しくなったけど、離してはくれない。
「なぁ? 何なの?
俺と別れたいんじゃないの?」
「へ……?」
なんて間の抜けた声。
だって矢野君が変な事、言うから。
真っ赤な私は、首をおもっきり左右に振った。
その姿をチラッと横目で見た矢野君の口から漏れた言葉。
「なんだー……違うのか」
少し残念そーな顔……してる?