「桜田……?」



少し低くて、優しい声。

矢野君だ。



でも、どーして?
ここに居るの?



「寝てんの……か?」



ふぅーって軽く息を吐きながら、横のベットに座る様な音がした。



えっえっ?!
ここに居る気なの?!

なんでぇ~?



静かな保健室に、私と矢野君の息使いだけが響く。



何か……苦しい。



布団に潜ったままだし。
矢野君が居るだけで息もしにくいし。
体温も上がって暑いし。



はぁー……。
どうしょう?



あっ! そうだ!

寝たふりしてたんだから、起きたふりすればいいんだよね!




なんて思っても……。

そんな演技派でも、勇気もない私。



ソーッと布団の隙間から覗いてみたら
矢野君、寝てるしっ!


もう……心臓に悪いよっ!



静かに起きて、矢野君に私の布団をかけた。
矢野君のベットのは、踏んで寝てるし。




そっと、ベットの横にしゃがんで矢野君の顔を見た。


寝てたら……こんな近くでも顔見れるのに。

本当、綺麗な顔だなぁ。
女装も似合いそう♪

あっ! こんなところにホクロあったっけ?


わーい♪ 大発見!



それに柔らかそーな唇だな。
この唇とキス……したんだよね?