「何それ?」
「え?」
「俺と別れたい?」
えぇ?! 違ぅ!
違うけど。
矢野君は、どう思ってるんだろうって思って。
「矢野君は? 矢野君は別れたい?」
「お前さっきから何?
自分は、答えないで聞いてばっかじゃん。
てか、俺が別れたいってたら別れんの?」
「ちがっ……」
慌てて顔を見ると怒った表情。
その顔を見て、何も言えなくなってしまった。
「はぁー……今日は帰るわ」
「あ……」
そのまま、瞳も合わさず来た道を戻って行った矢野君。
怒ってた。
ごめんなさい。ごめんなさい。
ただ……矢野君に私がいいって言って欲しかったの。
私が好きだって。
自分でもわかってる。
あんな言い方良くなかったって。
例え、言ったとしても『私は矢野君が好き』って言えば済んだのに。
自分の心の中を隠したまま、矢野君の心の中を覗くなんてセコイ事した私が悪いよね。
ごめんね、矢野君。