「----入学式を終わります。起立、礼。」
やっと終わったのに何だか希夜のせいで落ち着かない気分だ。
それに、生徒会長だったなんて初耳だし。
各自教室に入るようにと言うアナウンスにより移動し始めた中、私は一人キョロキョロと辺りを見回していた。
「目障りなんだけど、」
「ひゃぁっ!」
また希夜!
振り返ったら目の前にいるからびっくりする。
もう少しましな登場をしてほしい。
仏頂面で私を見下ろしていた。
「教室はあっち。」
教室がわからないと思ったのだろうか?
親切に指差して教えてくれたことにびっくりだ。
教室の方向を見ると圭也が随分(ズイブン)前の方で歩いているのが見える。
「あ、ありがとう…」
「別に。」
ヤツは少し警戒しながらお礼を言う私の隣をごく自然に並んで歩き出そうとする。
裏がありそうで、ホント怖い。
ほんのちょっとの間で希夜の恐ろしさを知ってしまった私には、こんなことでさえ疑ってしまう。
「成績発表、楽しみだろうね…」
何なんだろ。
超意味深に聞こえるんだけど。
希夜、なんか知ってるのだろうか?
私の不思議そうな顔に少しだけ仏頂面を緩め、軽く笑う。
あれ?
この顔も初めて見る。
いつもの嫌みな笑い方とは違うような気がした。
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