「やっと入学式だね?」


希夜から離れて一安心と思ったら

横から話しかける架依斗。
私の前にある急須(キュウス)を取りにきたご様子。

って言うか

ち、近い。

架依斗が急須に手を伸ばせば伸ばすほど近いッ!!


「へっ?・・・そ、そそそうだな。」


「どうしたの?」


覗き込んで、って近過ぎるッ!!

もしかして、わざと?


正直な私は真っ赤っかに染まってパッと顔を背ける。

女子校育ちの一応令嬢な私は、男性に免疫(メンエキ)がないのだからしょうがない。

それに、乙女の心は王子様に弱いものでしょ?


だが、はたから見たら、危(アブ)ない光景かもしれない。

心配そうに覗き込む学園の王子に、頬を朱(シュ)に染めながらも素直になれずそっぽを向くツンデレ男子。

ってな感じに見えるような見えないような。


鈍そうな架依斗は大丈夫だと思うけど、恭がね・・・


からかいの種を自分でまた作りたくはない。


恭に遊ばれるのは勘弁(カンベン)なのだ。