「そういえば、希夜、圭也のお姉さん達とやり取りしてるんだろ?」
「まぁ、してるけど。」
「何か言ってなかった?」
「別に何も。」
「んじゃ、圭也の周りの変化とか・・・」
「それは君の方が知ってるでしょ。」
「そっか・・・」
「何どさくさに紛れて探り入れてんの。」
「だって・・・」
何でもいいから手がかりがほしい。
「なんでも一つ言う事聞くから手伝ってほしい。」
コイツに1番言いたくなかった言葉が出てくる。
「なんでも?」
「なんでも。」
「じゃあ、君の家に連れてってもらおうかな。」
実家⁉
「それは絶対無理っ!」
「はぁ?」
不満そうな顔だ。
連れてったら何もかも終わりだ。
圭也を連れ戻すどころか、自分が去らねばならなくなる。
「それ以外で!」
少し考え込んだ後、ニヤリとお馴染みの不気味な笑みで玲李に近づく。
するりと右手で引き寄せ、もう片方の手を頬に寄せる。
え?
そういう事なの?
わけのわからない汗が噴き出す。
でも、覚悟を決めなきゃ!
そっと目を閉じた。
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