「で?」
希夜はゆっくりとした動作で隣に移動した。
腕を組み、壁にもたれた姿勢で私を一瞥(イチベツ)する。
いつも以上に威圧的な態度だ。
「なんか、怒ってる・・・?」
「当たり前でしょ。」
「え?」
「ほんと学習能力無いよね。一度ならまだしも二度までも丸腰でやってくるなんて。」
「い、いや‼来たくてきたわけじゃっ・・・」
じろりと睨まれ口を閉ざす。
こんな事言ってたら協力してくれるどころじゃないよね・・・
「そ、そうじゃなくて。緊急事態なんだ。」
「なに?」
「圭也が急に学校辞めるとか言いだした。」
一通り希夜に事情を説明する。
始終顔色一つ変えることなく、静かに聞いていた。
「・・・ということなんだ。」
「で?」
「へっ?」
「それで?」
「いや、だから希夜ならなにか事情を知っていて、協力してくれるかなと思って。なんだかんだ言いながらも仲良かったじゃん。」
「なんで俺が。」
「なんでって、友達だろ?」
「あいつがちゃんと考えて決めたことでしょ。もう関係ない。」
「っ・・・関係ないって・・・」
「決めたのは圭也だ。なにか助けが必要な状態ならアイツならその前に俺達に頼るはずだろ。」
いつもの圭也ならそうかもしれない。
でも、最後にあった圭也はいつもの圭也とはかけ離れていた。
心配じゃないのだろうか。
怒りで身体が徐々に熱くなるのを感じた。
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