「変わらずにいてくれて良かった。」


突然の恭の呟きに玲李と樹里ちゃんがキョトンとした顔で恭を見る。
表情がどこか寂し気で何故かこちらまでキュッと胸が締め付けられる。



「あ、いえ。それより樹里さんは最後までいるんですか?」


一体どういう意味だったのだろう。
恭ってばたまにああいう言動をするから心配になってしまう。
どっちがほっとけない妹だよ。



「そうね、もうそろそろしたら帰らなきゃいけないわね。」


「えーーもう?」


午後の競技には入っているが、終わるにはまだまだ時間はあるはずだ。



「いったん学校に戻らないといけないのよ。」


「え?今日、休みなんじゃないの?」


「面倒なことに、一応進学校なのよね。土曜日もあるの。」


「じゃあさぼり?」


「もちろん。凛さまと玲李に会いたかったからしょうがないでしょ?」


全く・・・流石だわ。
樹里ちゃんの行動力にはいつも感服する。

恭も樹里ちゃんの強気な態度にクスクスと笑っている。
そう言えばこの前みたいに猫かぶってないな。


「あ、希夜にも会っとかなきゃいけないわね。」

「げ。アイツにも会うの?」

「玲李、言っとくけど凛さまの情報提供は貴方より希夜の方が協力的よ?写真もまだ一枚も撮れてないんでしょ?希夜なんて・・うふふ・・・」


希夜・・
樹里ちゃんにどんな写真提供してるんだ。


そもそも、樹里ちゃんと希夜の関係もほんと意外でしかない。


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