モニター上で圭也の珍プレイが写し出されている。


借り物競争ってあんな苦労するものだっけ⁉


圭也が少し動くたびに会場は笑いに包まれる。


「ぷっ」


圭也のきょろきょろとしながら百面相をする様子についに鈴音が噴き出した。


「おやおや、赤チームの藍咲くんはまだお目当ての探し物が見つからないのでしょうか?いつもに増して奇妙な動きをしております‼」


どうやらお題の借り物がまだ見つからないようだ。

実況中継の男子生徒が面白おかしく圭也をいじっている。


一体何を探しているんだろう。



今度は叫び始めた。



「くるみ――――っ‼」



あぁ、くるみちゃんか。



「希夜―――っ‼」


ん?希夜?
どういう組み合わせ?



恭も鈴音も不思議そうな顔でモニターを見ている。


あの紙には何が書かれているのだろう。

くるみちゃんは早速松さんに連れられてやってきた。
だが、希夜がやってこない。

希夜が嫌いそうな競技だからな。
このまま出てこないかもしれない。


時間は刻々と過ぎ、他の参加者は次々とゴールしていく。

気の毒になったのか1人の教員が圭也にマイクを差し出す。


「きっよ―――――っ‼」


耳をつんざくような圭也の声が響き渡った。


流石にこんな大音量で呼ばれて出てこないわけがない。

「はぁ・・・」

ため息が聞こえてきそうだ。
やっと心底嫌そうな顔でスタジアムに出てきたのだった。



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