ハッと目を向けると、つぶらな瞳の幼女と目が合う。
玲李の腰下までしかない小さな身体で一生懸命玲李に掴(ツカ)まっている。

ほっぺがぷにぷにして柔らかそうだ。



「にぃに、にぃに、ろこ?」



か、可愛い!


玲李の足をゆっさゆっさと揺すり、つぶらな瞳で訴えていた。



「ん~にぃに?どこかな~?知らないな~」


このクラスにお兄さんがいるのだろうか?

考えなしにそう言えば、幼女の瞳はみるみるうちに涙が溜まっていった。



「に、にぃにぃ、うぅ、に、ぃ…」


「え?えっ⁉えっ⁉」


あー雲行きが怪しいぞ?
でも、にぃにと言われたって、思い当たる人物が思いつかない。


ど、どうしよう・・・


「にっにっ・・・うぅ」


玲李は周りを見渡すが皆応援に集中しており、こちらに気づかない。


可愛い幼女はプルプルと震えはじめた。



「にっにっ・・・ふぇーーーん」


うわー、とうとう泣き始めてしまった。
ど、ど、どうしよっ‼


応援に集中していた皆も一斉に振り向く。



「なんだなんだ?」


「まーた、天世か。」


「ダレ?あの子。」


「女の子泣かせてやがる(笑)」


そんな声が聞こえて、ちょっとだけ赤くなる。
いろいろあったからな。
皆には、私は問題児に見えてるに違いない。

また何かしでかしたと思われているようだ。

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