「え~テストテスト、マイクのテスト中~」
突如、スピーカーから圭也の声が聞こえる。
隣にいる光の顔があらかさまに引きつっている。
大音量で圭也の声を聞くなんて変な感じだ。
ドンドンっと何処からか体育祭を知らせる号砲が上がる。
それを合図に先ほどのテストの時より大分大きくなった圭也の声が響き渡った。
「レディース&ジェントルメ~ン、これから高龍学園体育祭を始めちゃいまっす‼」
この場に似つかわしくない言葉遣いにハイテンション。
来客側が前例にない奇妙な進行にざわつき始める。
んでんで~と続けようとする圭也の声の後にゴスッと鈍い音がマイク越しに聞こえた。
「大変失礼しました。只今より平成○○年度、第105回高龍学園、体育祭を開催いたします。生徒一同、前へならえ。」
やっぱりな。
希夜の声だ。
あまりにひどい圭也の進行に序盤から駆け付けたようだ。
私達は一安心し希夜の言葉に従い、腕を伸ばし、周りとの間隔を均等に整えた。
「なおれ。」
サッと手を下ろし、前を向く。
何処となしか皆、肩に力が入る。
体育祭が嫌いなAクラスでも、そうそうたる来客の面々に緊張しているのだ。
おそらく変わりないのは圭也だけだろう。
「その場足踏み。」
私達は足並みを揃え、その場で行進する。
姿勢を正し、大勢の男性が地面を踏み鳴らすその様は圧巻だ。
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