歩き疲れてきたころ、整備された庭園を抜けた先に巨大なスタジアムが見えてきた。


近づくにつれ、たくさんの人でごった返している様子がわかる。



「・・・あんなに人いたんだな。」


「来客もいるからな。」



全校生徒が集まる機会が少ないせいかほとんどの知らない人だ。
圭也とかハルとかミッキーは"○○先輩だ"とか"○○だ"とか、結構知り合いがいるらしい。

玲李はAクラスでもまだ覚えていない人がいるというのに。




「おい、藍咲っ‼急がねーと間に合わねーぞ。」



人ごみの中から手を上げ、強面の人が圭也に声をかけてきた。
ちょいちょいと手で招く。


「アレ?もうそんな時間っすか~?」


圭也はというとのん気なものだ。
額に手を当てあちゃーっと笑ってる。

先輩はそんな圭也に若干イラついてるような表情に変わる。



「放送委員って準備もあるんだろ?」



玲李は"早く行ってやれよ"と圭也の背中を押した。
先輩も圭也みたいなヤツが後輩で大変だな。



先輩に向かって走っていく圭也の様子を見守る。
たどり着いたと同時に先輩にどやされている圭也が見えたのだった。



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