静寂が二人を包む。
ただ宣言するだけだけど何だか緊張する。



「何?」



「俺、諦めないから。」



希夜の視線が冷たくて芯まで冷えてしまいそうだ。

上擦った自分の声がやけに大きく聞こえる。



「ちゃんと"応えたい"から。・・・認めてもらいたいから。」




「それって、俺に対しての挑戦状だって受け取っていいの?」



「・・・うん。」



希夜が生徒会長で学園を大事に思っている以上、それは挑戦状で間違いない。
へっぽこスパイの挑戦状だ。

希夜も元気をなくす必要なんてない。
私自身が期待に応えている姿を見て、どうぞ勇気をもらってくれって感じだ。
言ったら首絞められそうだから言わないけど・・・



「ふぅ~ん。」



希夜の口がニヤリと歪む。
大きなネコ目が爛々と輝いていた。


ひゃー
悪寒が走ったよ。

あれ?元気になった?
早くない?
まだ、応えてないよ?


「んじゃ、そう言うことでっ‼」



ドアに向かって走る。


が、



玲李の首の根っこは捕らえられていた。

いつの間にっ‼
足痛めてたんじゃないの?


「ひゃー――っ‼」



「ひゃーじゃないよ。メガネ返せよ。」


なっ‼
忘れてた‼


自分にかかっていたメガネを取り、スチャッと希夜にかける。


そして、手を振り払い、猛ダッシュでその場を逃げた。

後ろからは、いつもと違う声を殺すような笑い声が確かに聞こえた。



.