そう遠くない所に二人の男がいる。


見覚えのあるその顔に思わず"ゲッ"と声を上げそうになり慌てて口元を押さえる。



1人は恭の弟。

たしか恭貴だ。


そしてもう一人は前に鈴音を追っていたDクラスの中にいた奴だ。
あの時喋らなかったけど、前方にいたからすぐに気づいた。

真ん中分けの少し長めの黒髪を一つに束ね、細い眉に切れ長のたれ目が印象的だ。

ひょろっとした長身で全体的に冷たい雰囲気がある。

へびっぽいと思うのは私だけだろうか・・・



ここからじゃ聞こえないが、二人はゴミ袋を片手に立ち止ってお喋りしている。


恭貴は面白い話でもしているのか無邪気な笑顔を見せている。


目つきが鋭く怖いイメージが強かったが、笑うとえくぼができて可愛いかも・・・。





じゃなくて、ただのゴミ出しじゃないか。

何で私達は隠れているんだろう。


希夜の意図が分からなくて首をひねる。

入学式の時のことを思い出すかぎり、希夜がDクラスを避けたり、怖がったりするはずないよね?



希夜に聞きたいが、声を出したらバレてしまいそうで息を潜めて奴らが過ぎ去るのを待つしかない。


ま、希夜のおかげでDクラスの連中と鉢合わせなくて済んだ。
顔覚えられてしまっているかもしれないしね。
良かった良かった、なのかな?


一時すると二人はゴミ袋を焼却炉の中に投げ、どこかへ消えていった。



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