何者かが素早く玲李を回転させ後ろにまわった為、顔から地面に突っ込むことも、背中を打ち付けることもなく、少し尻餅をつくだけで済んだ。


背中には服越しに誰かの生暖かい温度を感じて、ゾッとする。


誰っ⁉


叫びだしたいのだが、がっちりと口元を片手で覆(オオ)われていて声にならない。


懸命に身体をくねらせ暴れる。

やっぱ、呪いだ~


「ヴぅ~」

「ウザい。大人しくしろ。」

「う?」



この声は・・・


希夜・・・


何度もこんな状況があったからか、自然と力が抜ける。

またかって感じだ。


経験上、逆らわない方がいいと身体が分かっているのかもしれない。




今度は一体何なんだろう。


「しゃべったら承知しないよ。」


希夜は大人しくなったのが分かったのか口元の手をどかした。

そっと後ろを見上げれば、間近に希夜と目が合う。


近っ‼

背中が希夜の胸板に付いてた時点で気づいてたけど近っ‼


動揺する玲李をよそに、希夜は玲李そっちのけで焼却炉の向こう側を気にした様子で影から覗いている。


相手もされず仕方なく玲李もこっそり向こう側を覗いたのだった。



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