玲李は重い腰を上げ、また建物の建ち並ぶ寮の方向へ足を進めた。



庭園でのんびりしすぎたせいか、ちらほら生徒たちの姿が見える。

でもまだ、休みにしては早い時間。


委員会かなんかの用事がある生徒たちだろう。


足早に玲李の脇を過ぎていく。

あまりこそこそしないほうがよさそうだ。

身を隠したければ紛(マギ)れるのが一番だしね。



さて、どこに行こうか。


あてもなく歩いていると、いつの間にか焼却炉の前に来ていた。


朝も通ったし、Dクラスの奴らや光に追われて隠れた思い出深い場所だ。
私ってばなんだかんだでここに縁があるな・・・




感慨深(カンガイブカ)く思い、そっと焼却炉に手を伸ばす。


何でいつもここなんだろ。

運命?

いや、呪いだろうか?



冷たい感触が指先に伝わった瞬間、後ろに何かの気配を感じた。


だが、振り向く間もなく、何者かに背中を強く押された。


「うぎゃっ‼」



玲李の身体はみるみるうちに焼却炉の陰に隠れてしまった。




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