暇を持て余す怜悧は鈴音を眺めながら今までのことを思い返していた。
まだ、1ヶ月ちょっとしか経ってないというのに色んなことがあった。
最悪な希夜との出会いから始まり、たくさんの人たちと出会い、仲間ができた。
こんなに変われるものなんだな。
隣に誰かいるのに、浅い付き合いしかできなくて、孤独を感じていたあの頃とはもう違う。
苦い記憶が頭にちらつき、怜悧は顔を顰(シカ)める。
ここは女の私にとって危険でいっぱいだとわかっている。
だがそれ以上に居心地が良かった。
きっと昔の自分には戻れないだろう。
たった1ヶ月で溜まった思い出は鮮やかすぎて、今までの自分はモノクロみたいだ。
学園に向かう私に、お父様は言っていた。
"学園に何もないと感じたならすぐに帰って来なさい。"
1ヶ月後は体育祭。
忙しくなるその前に学園を調査する必要がある。
私にはこの場所に踏み入れた瞬間から、お父様の言う帰る選択肢は無かった。
認められたい。
その一心。
だから、必ず成果を出さなければいけない。
また、この場所に居るためには、私がここにいる本来の目的を忘れてはならないのだ。
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