「ま、天世、今回大変そうだったもんな。存分に羽を伸ばしてこいよ。」
細い眉を下げ気の毒そうに見られた。
そんな感じに見えていたんだ。
名前も知らなかったクラスメイトに同情される。
「みんなで行けばいいと思う。西野くんも行こう?」
小首を傾げ、西野くんを見る凛。
凛ってば、天使のようだ。
優しすぎる。
「マジで?俺もいいのッ⁉」
「凛太郎の家は旅館を経営してますからね。」
「今の時期なら、何人でも大丈夫。」
どんどん行く方向で決まっていってるけど、私、やばくないか?
合宿のコテージは大丈夫だったけど、旅館って・・・
今度こそ大浴場な気が・・・
「よっしゃーあ‼」
西野くんの元気な声がAクラスに響き渡る。
「早く帰って準備しようぜ~」
「圭也は準備が長いので先に部屋に行ったらどうですか?」
「そうだな。西野、架衣斗、行こうぜ~」
西野くんと圭也がスキップしながら教室の出口に向かった。
架衣斗はその様子に微笑みながらついていく。
やっと一時の休みだと喜んでいたら、試練ってやつは休みなく転がってくるらしい。
「怜悧、頑張ってくださいね。」
「え⁉恭は行かないのッ?」
「委員会がありますから。希夜と藤原くんはもちろん、架衣斗も光も行けないと思いますよ。」
えー⁉
頼りになる人が皆来れないとか・・・
西野くんってなんだか圭也とノリが似ていた。
私と凛であの二人の暴走を止めることはできるのであろうか。
行く前から胃が痛み出す玲李であった。
.