どうしてこうなった・・・
狭い一部屋に高校生5人が並んで寝る奇妙な光景。
鈴音は圭也と光は絶対いやだといい、光も圭也と鈴音と隣はいやだという。
架衣斗は誰とでもいいと言うが、圭也は隣じゃなくてもいいから怜悧が一緒の部屋がいいといって譲らない。
怜悧は身の危険から圭也の隣は嫌だし。
二部屋に別れるのは諦め、こうして決まった順序が、圭也、光、怜悧、架衣斗、鈴音の順だ。
最初、光は猛反対だったが、寝相の悪い&デカい圭也を止められるのは、猫背を延ばせばこの中で2番目に背の高い光だということになったのだ。
怜悧の隣ならばと渋々了承した。
どういうことだろう。
納得した場所のはずなのに、いざ、横になってみれば眠れそうにない。
右を見れば端正な顔が間近で輝いていて、左を見れば見慣れた顔のはずなのに、あどけない、いつもとはひと味違う無防備な寝顔がそこにあってドギマギしてしまう。
しかも、二人とも怜悧の方を向いているなんて。
こんな事になるのなら、鈴音の隣にすればよかった。
鈴音はどうしてか妹のような感覚で扱ってしまう。
「ん?どうした?眠れないの?」
ソワソワと落ち着かない怜悧の気配に目が覚めたのか、光が声をかけてくる。
擦れた声がいつもより色っぽく感じてしまうのは、私がおかしいのだろうか。
「光。・・・ずっと起きていないか?」
光と架衣斗の寝顔は心臓に悪い。
「まーた、バカなこと言って。早く寝ろ。」
無理やり毛布を怜悧に被せ、頭をトントンと軽く叩く。
怜悧は普段めったに触れてこない光の思わぬ接触に、言葉が返せない。
すっと立ち上がったのをみて、やっと声を上げた。
「ど、どこ行くの?」
慌てて光の手を掴む怜悧に、光は不思議そうな顔をしながらも答える。
「トイレ」
パッと掴んでいた手を離す。
顔が赤いの気づかれていないだろうか。
恥ずかしくて死に悶えそうだ。
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