「あーもう無理だー」

なぜか圭也も教えられる側に入り、4時間。
ようやく音(ネ)を上げた第一人者に続き、怜悧と鈴音も畳に突っ伏す。


「もう少し、って言いたいところだけど、そろそろ夕飯にでもしよっか。」


架衣斗の声に怜悧と圭也は歓声を上げ立ち上がる。

光もさすがに疲れているようで、眼鏡を外し、目をこすっている。
朝からずっとだもんな。

鈴音はさっきまでは光にべったりだったのに、終わった途端に私の後ろに隠れた。
現金なものだ。


「食堂まで行くのか?」


随一(ズイイチ)の所有地を誇(ホコ)る高龍学園。
コテージから食堂まで結構な距離だ。
そんな元気は私に残っていない。


「いや、今日は持ってきたよ。鈴音を連れて行くわけにはいかないしね。」


いつの間に入れたのか、もう一部屋にある小さな冷蔵庫から弁当を取り出す架衣斗。


そういえば、鈴音の存在はDクラスではどうしているんだろう。
授業にも出ていないし、寮にも戻っていないのに。

あれ?

そういえば私もじゃないか‼
今までなぜ疑問に思わなかったのだろう。
鮫島に怒られる‼


「架衣斗‼俺達、授業無断欠勤しているけど大丈夫なのか?」


「ここの学園は出席日数は気にしないからね。節目以外は居なくても大丈夫だよ。」

弁当を並べながら続ける。

「大事なのは無難に授業を受けて、成績を維持、上げるか、もしくは人と違った独自の勉強をして伸ばすか失敗するか、どちらを選択するかってところだよ。過半数の生徒は授業さえ遅れてしまうのを恐れて、出席しているけどね。」

一人で勉強なんて無理だよな~と圭也。


そうなんだ。
じゃあ、もしかしたら授業さえも付いていけなくなるかもしれないってこと?


「俺達も失敗したらいけないから、授業受けた方がいいんじゃないのか?」


「普通に授業受けただけじゃ、他の生徒と変わらない。失敗とか気にするのは最低限の点数が取れている人の言葉だと思うけど。」


光の言葉が胸に刺さる。

そうだったー
私達クズ以下なのだ。


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