「明日は藤原さんと恭がきてくれるよ。」
藤原さん、やったー。
「藤原さんヤッターって顔してると恭が悲しむよ?」
何で分かったんだろ。
「き、恭も嬉しいなぁーハハハ・・・」
恭はすぐ意地悪言うしなぁ。
その点、藤原さんは男らしくて、勉強も出来て、懐もデカくて。
やっぱり、藤原さんだよなぁ。
「あ、僕は明日用事あるから。」
「えーーー?」
一際大きな鈴音の不満げな声に私と光はあんぐりと口をあける。
仲、悪かった、よな?
「鈴音、八巳と仲良くなったんだ。心配してたから安心したよ。」
架衣斗の発言に、顔を真っ赤にして鈴音が反論する。
「仲良くなってなんかいない。だけど、勉強教えるのは一番上手いから‼」
確かにそうかもしれない。
藤原さんは教える時、そこをパッと解いてとか、擬音で話すことが多くいまいち理解できないし、恭は得意な分野は熱が入り、必要ないところまで掘り下げて教えてしまうし。
凛は解りやすいちゃあ解りやすいが、ちょくちょく休憩を挟みたがる。
圭也は自分まで解らないという始末だ。
もちろん、架衣斗の勉強は解りやすいが、他の事に気がそがれて・・・
架衣斗の顔がきれいとか、近いとか、いい匂いがするとか、雑念でいっぱいになるのだ。
「へぇー。八巳スゲーな。」
「八巳がいて助かったよ。」
復活した圭也と、架衣斗が光を褒め称える。
失礼な言い方だが今まで一匹狼だった光には意外な才能だ。
一人の時は気づくはずもない、本来持っているリーダー気質と世話焼き体質はこういう時に光るらしい。
「光は、将来、教師が向いているのかもな。」
怜悧は満面の笑みでそう言った。
光の赤くなる耳と戸惑うような表情。
まさかこの一言が光の人生のターニングポイントになるだなんてその時の怜悧は知るはずもない。
それはずっと先のお話。
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