「ま、こんなところに人は来ないと思うけど・・・」
圭也のやろう。
後でとっちめてやらなきゃ気が済まない。
「くしゅんっ」
鈴音が隣で可愛いくしゃみをする。
やはり夜は冷える。
シャツとカーディガン一枚では寒いのだ。
だが私達は圭也の帰りを待つほかない。
一瞬、私だけ寮に入りカギを開けようかと考えたが、鈴音の“一人にしないで”と懇願(コンガン)する顔を思い出し思いとどまる。
鈴音が今頼れるのは私たちだけなのだ。
私が守ってあげなきゃ。
なんだか、妹ができたみたいで嬉しい。
あ、弟か。
少しでも暖かくなればと思い鈴音の腕を取り、身を寄せる。
びくっと反応したが、拒否されることは無かった。
「もう少しだからな。頑張れ。」
何か言いたげに私を見るが、何も言わずそっと硬直していた腕の力をゆるめた。
緊張していたらしい。
今日は鈴音も疲れただろうから、部屋には入れたら私のベットを貸してやろ。
鈴音は人見知りらしく、まだ私たちとは打ち解けてないけど、きっといい友達になれるだろう。
そう思った。
.