「そろそろ寮に戻った方がいいんじゃないですか?」
「田西のばばぁがうぜーぞ、きっと。」
圭也は田西さんによく怒られているから慌てて私たちを急かす。
「そうだな。また詳しいことがわかったら俺に文をくれ。」
文、ですか。。。
・・・・・
藤原さんやっぱカッコいい‼
「・・・文?」
凛、きょとんとしないで、藤原さん本気だから。
「文はちょっと・・・。」
架衣斗まで苦笑い。
「では、どんな手段でもいいから連絡をくれ。じゃあな。」
颯爽(サッソウ)と去っていく藤原さん。
後ろ姿も凛々しい。
「俺たちも帰りますか。」
部活の後にしては遅すぎる時間帯になってしまった。
だが、架衣斗の掛け声で歩き出す私たちとは対照的に歩みを止める鈴音。
「寮はもう・・・・帰れない。」
泣いているのか嗚咽(オエツ)が漏れる。
もう真っ暗で外灯の光だけでは鈴音の表情は読みれなかった。
そっか、帰ったらせっかく引き渡さずに済んだのに意味がないよな。
きっと酷い目にあう。
家に帰りたい。そう言った鈴音の傷ついた姿を思い出す。
架衣斗はどうする気だろう。
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