「光のせいで少年と距離ができちゃったよ。」


私は恨みがましく光を睨んだ。
意味が分からないとでも言いたげに顔を顰(シカ)めている。

感謝はしてるけど、あのやり方は、ねぇ?


「・・・大丈夫?」


凛は優しいからすぐさま近づいて、手を引いて私たちのところに連れて来ようとしていた。
だが、少年は凛を見ることなく手を振りはらうと私達から距離をとった。


時間は刻々と過ぎていく。
まだDクラスの連中には見つかっていないが、探しているのであれば時間の問題だろう。


強行手段を取るべきかと悩みはじめたとき、架衣斗が動いた。





「確か、天草 鈴音(アマクサ スズネ)くんだよね?」


可愛い名前だな。
って、架衣斗知ってたならもっと早く話しかければいいのに・・・


架衣斗はいつものようにニッコリ微笑むと1歩近づいた。
少年は警戒して、返事をしないまま架衣斗をじっと凝視している。


「俺は日渡 架衣斗。よろしくね。」


架衣斗の名前になぜか少年の眉がピクリと反応した。


「キミの事情は大体察してるよ。大変だろうね。」


架衣斗は気の毒そうな顔を向けさらに続けた。


「もう、あんな目にあう必要はない。俺たちが協力するよ。」


少年は思案顔で地面に視線を落とした。


「最近、キミが俺のことを探していると噂で聞いていたんだ。」




え?なんで?



「もっと早く俺から会いにいけばよかったね。」



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