外はまだ4月特有の肌寒さがある。
薄いカーディガンだけでは厳しくてブルブルと身体を震わせた。
「さっみ~」
気づけばそう呟いていた。
最近男言葉も板についてきたと思う。
周りに誰もいなくても自然に出てくるまでになった。
裏を返せば女らしさがどんどん無くなわれているということに
怜李は気づかない。
入学式の時に追われ通った寮の裏道に着く建物通りを歩く。
光から、正面から行くより、近道なのを教えてもらったのはつい最近だ。
私は昨日と同じようにそこを歩いていた。
ただ違うのは独りでいること。
そしてとても大事なことを忘れていた。
光に何度もしつこく忠告されていたのに、忘れてしまっていたのだ。
静かな通りに突如罵声や結構な数の足音が聞こえる。
怜李は
もう半月も経てば本物の男の子になってるのでは?
とかバカなことをボーッと考えていて、辺りが騒がしい事にまるで気付かずそこに向かって歩いていた。
気づいたのは建物の陰から一人の少年が飛び出して来たときだった。
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