「そこはそうじゃない!さっき教えたと思うけど。」
夕日が照らす教室。
そこには光と怜悧の姿がある。
成績上位者の特権でクーラー完備の過ごしやすい教室を借りられたのはいいが、あんまりな光の鬼教師っぷりに既に疲れきっていた。
”スミマセン、スミマセン”としか発さなかった声から違う言葉が紡がれる。
「ちょっと休憩!!」
うわ。
怒ってるし。
光の視線が超鋭い。
でも少しくらい休憩しなきゃ見に入らない気がする。
はぁー
っとため息を吐いてやっと休憩を許してくれた。
てかずっと気になってたんだけど
「なんで俺の勉強手伝ってくれるの?」
光は勉強の間だけ掛けていたメガネを外すとムスッとした表情をしたまま視線をさまよわせた。
「ま、あれかな。」
「へ?」
「怜悧は僕にとって初めての友達だから。何か僕にも怜悧の助けになれないかと思って・・・」
うわ。
光のヤツ。
”初めての友達”なんて不吉な言葉をスルーできるくらい嬉しいんですけど。
ニヤニヤしてしまいそうな顔を必死に引き締める。
見られたら、辞めるとか言い出しかねないからな。
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