「怜悧は”地獄”というのを軽く考えているようですが中学とは比べものになりません。弱肉強食の世界と言っても過言ではありませんから。この制度のせいで学園を去った生徒も大勢いますからね。」


学園を去ったって。
そんな・・・

全身が震えたのがわかった。


「怜悧はもう気づかれたのでしょう?」

「俺がビリになるってこと?」

「ええ、それもありますし、地獄の対象の一人が怜悧に決まったってことです。」



一人が?
ってことは!


「その対象って一人じゃないのか?」

「二人です。」


やった!!

「多分圭也でしょうね。」

「ま、マジでぇ~」

嘆いている情けない顔の圭也を視界の隅で捉えながらも放置する。
今は圭也に構ってる暇はない。

学園を去るとは余程のことだ。
”地獄”というのはどうゆうものなのだろうか。


「怜悧にプライドはお持ちですか?」

は?
それはどういう意味だろう。

「そ、それなりには持っていると思うけど」

「地獄とはそれを踏みにじられるような感じだと僕は理解しています。」


恭の話によればこうだ。

高校では最初の授業のときにクラスで順位ごとに階級分けされる。
生徒は自分の成績に見合った階級をもらい、今鮫島が渡している胸に付けるバッチで見分けるそうだ。
位が上になればなるほど色々な面で優遇され、快適な学園生活を送れる。
ただ、ビリとなったヤツはクズと呼ばれクラスの下僕と化するのだ。


「教師から言い渡された雑用は勿論、面倒事はすべてクズに回ってきます。」

「うえー中学ではそんなんじゃなかっただろ~?なんか学級委員長的な役目だったし。」

圭也の発言に恭がハァーとため息を零す。

「だから、中学とは比べものにならないと言ったじゃないですか。そもそも圭也はこの学園に何年もいるんですからそれくらい知っといて下さい。」


シュンとなる圭也。
脳天気なヤツだからしょうがないと言えばしょうがない。


「ま、地獄と言われる所以(ユエン)はそれだけじゃないですが。」



まだあんのか!!



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