誰もが鮫島のデカい声に耳を傾け、そして祈っている。

私は訳も分からず皆と同じようにしていた。


名前、順位、点数の順番で読み上げ、呼ばれた生徒は教卓の所で待ち構えた鮫島に何か手渡されている。

後ろの席の私には全く見えないが、それがキラリと光ったような気がした。




時計の針が30分を指す。

確か授業が終わるのは45分だったはずだ。
順位も後半に入ってきている。

もちろん私はまだ呼ばれていない。


まさかとは思うが私がビリという、そういうオチだろうか?


ま、まさかな・・・


「や、やべ~また俺ビリケツかよ~」

鮫島の方に身を乗り出して聞いていた圭也が終盤に近づくにつれ落ち着きを無くしてきていた。

てゆうか

「圭也、前ビリになったことあんのかよ!?」

少し声が大きくなってしまい鮫島にジトリと睨まれる。
だから再度小声で圭也に話しかけた。

「まぁな。中学の頃だから高校と違って緩かったけどなー今回は担任が悪いわ。本気で地獄だぜ。」


だから、地獄って何なんだよ~!


だけど経験者が身近にいたせいかビリでもなんとかなる気がする。




先生と皆の表情から察するに私がビリの可能性は高い。
でも、圭也がその”地獄”ってやつを乗り越えたんだから私が乗り越えられないはずない。


「高校はそんな甘くありませんよ?」

えっ!?

「恭!」


全く気づかなかったが前の席は恭がいたようだ。
クスリと笑いながら話に入ってくる。


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