英雄は自分の腕に付いている、最新式の腕時計"NO DEATH-NO.8"

を見ながらニヤニヤしていた。



先日、会社で良い成績を残したお祝いにと

Y上司からプレゼントされたのだ。





"NO DEATH"シリーズは、直訳すると

『死なない腕時計』

と分かるように、どこのブランド時計よりも耐久性に優れているため、値段もそこそこする。



大学時代は高くて手が出せなかったが、社会人になった今ようやく手に入れたのだ。



特にその中の"NO.8"は、太陽に投げ入れても『死なない』が売り文句の世界一の耐久性が備わっている。






「君、ちょっと『Sサイエンス社』までこれを届けてくれないか。」


英雄は突然のY上司の声にビックリして、持っていたお茶をこぼしてしまった。



「アチィッ!」



肌が赤くなる程度で火傷にはならなかったし、"デスエイト(NO DEATH-NO.8の略)"も何事も無かったように順調に動いている。



英雄はそのまま書類を持って『Sサイエンス社』に向かった。