メガネを掛けさせて…


彼女の髪を耳の後ろに掛けて…

耳に触れた。

びくっとして恥ずかしそうにする仕草が…やりにくい。

『ちょっとごめんね』

耳を前に倒して、ツルの曲げを調整する。


何度も耳を触れるうちに…彼女の目が俺をじっと見てることに気付いた。


『ん?痛い?』

『大丈夫…です』



何とも…甘い感覚にとらわれてしまった。


中学生だぞ。この子は。


メガネを渡して…帰っていく彼女の背中を見送りながら…ふと。


振り向くかな。なんて。



彼女は振り向いた。

俺を見て嬉しそうにして…帰っていった。